つい、お米を食べたくなる
そんなお話。
阪神米穀株式会社
事業内容 :・米穀のとう精業務
・米穀、麦製品(精麦、小麦粉、乾麺等)、精糖、食品、調味料、燃料、その他関連商品
本社所在地 :西宮市西宮浜4丁目1番15号
話者 : 代表取締役社長 田中 隆様
ウェブサイト : https://ebessan.jp/
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「お米」を取り巻く環境を変えていくこと、そのために阪神米穀としてできること

消費者と生産者をつなぎ、安心安全でおいしいお米、お客様のニーズにあったお米を提供する、“えべっさん米”でお馴染みの阪神米穀株式会社。消費者視点での製品づくりに力を注ぎ、米穀のとう精から販売まで幅広く対応されます。お米の生産・消費拡大における根本的な問題や、お米を取り巻く環境にどう向き合うべきかなど、大きな視点で話を聞かせてくださいました。

お米の消費量を上げることは大事、でも容易ではない

精米して、砕米が出て、米ぬかが出て、それら全てが活用されています。お米をつくるというのは目に見える以上に大きな影響があるからこそ、我々は生産量・消費量を上げていかなければならない。ただ、ご存じの通り日本は人口が減っています。その中で量を増やしていくのは容易ではないですよね。小麦から米粉に変えましょう、という流れはありますが、小麦の価格高騰で米粉が注目されて補助金が出るといった一時的な消費が増えても、もし情勢が変わったらまたお米はほったらかしになるんじゃないかと。継続するために何をすべきか、国も巻き込んで考えていかねばならないと感じています。

お米を海外に輸出するという考えもありますが、今現在お米の食文化がある国は、大半が自国で生産されています。一部の国・地域では日本のお米が割と売れていますが、買っているのは日本人メインというのが実情です。本気で輸出に取り組むのであれば、海外に市場をつくらないといけないのかなと思います。

小麦に置き換えて考えてみると、日本にパンが根付いたのはなぜか。戦後のアメリカが日本人にパンを配り、作り方を教えて、小麦を食べる文化を醸成したのです。このくらい大きな視座でお米と向き合っていく必要があるのかな、と感じますね。

守るべき自給できる唯一の農作物「お米」

1970年の万博開催から、徐々に日本の食文化が欧米化してきたと記憶しています。お米は100%日本で生産し消費できる唯一の農作物なので、お米を取り巻く環境を守らないという状態は改善すべきですよね。無くなって初めて気が付く、というのは避けたい。極端に言うと、国内で生産者がいなくなって、アメリカや中国からの輸入品だけになってもそれに気付かない、ということすらあり得ますよね。国内での消費を増やすと同時に、国産のお米の流通を守る仕組みも必須になってくると思います。

米農家のジレンマと難しさ

山形発祥のつや姫のようなブランド米が増えていますが、知られているものは限られています。市場から求められるお米をつくっていますか?という問いに対して、「美味しく品質の良いお米を、高付加価値品として高く売りたい」という農家さんが多いです。当然、良いものをつくったら高く売りたい。しかしながら、それを求めているマーケットが少なかったり、認知度が低かったりすると売れ残る。米農家って非常に難しい状況に置かれています。

社員教育の一環や、お米づくりの原価を知りたいという目的で、当社でもお米づくりを始めました。何をするにもお金がかかります。今の広さで機械・設備を購入しても赤字なので、土地を5倍に広げる。5倍に広げるとこの機械だけではできない、機械を増やさないと、となる。普通のやり方だと、いつまでも黒字にならないのが農業なんです。

小規模農家がビジネスとして成立させるのは、極めて難しい。結果的に、兼業農家か大規模法人でしかできないと思います。国としてお米を取り巻く環境を根本的に変えていかねばならないと、切実に感じます。

お米という伝統産業を継続していくこと、それを使命ととらえる

築野さんに関してもお米の副産物である米ぬかを利用した事業をされていて、製品や事業サイクルそのものが、SDGsという時代に即した考えにつながっている。これをぜひ世の中に伝わるよう宣伝していってほしいと期待しています。

当社は、築野さんのようなお米に関わる事業者や米づくり生産者が、産業として発展することを支えたい。お米に関わる全ての方々が置かれている状況を、広い視点でどう改善し継続していくことができるのか。それを考えるのが今の我々にとって必要なことととらえています。食品産業において、特に日本人の生活に直結しているお米を、きちっと守っていくこと自体が社会やいろいろな方々への貢献と考え、続けていきます。

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