つい、お米を食べたくなる
そんなお話。
幸南食糧株式会社
本社所在地 :大阪府松原市三宅西5-751
話者 : 代表取締役社長 川西 孝彦様
ウェブサイト : https://kohnan.co.jp/
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お米の魅力とまだ見ぬ価値を、
多角的な事業から見出す。

1962年をピークに生産量、消費量ともに減少の一途をたどっているお米。

減少の背景となっている生活スタイルの変化など、お米を取り巻く環境の変遷にアンテナを張り巡らせ、お米の価値自体が変化していることにも着目。

米穀卸、精米事業、炊飯事業、ギフト製品・レトルト製品の開発、アンテナショップ運営など地域活性化を目指した活動、六次化産業を見据えたNPO法人設立など、現時点で6つの多角的事業を展開。

更に2つの事業を若い人材の発想を取り入れながらチャレンジする、と希望に満ち溢れている。

お米の字の如く、8方向に向くこと=計8つの事業で、国内外でのお米の消費拡大を目指す。お米の可能性は無限大であると信じて。

消費者へ届いていない「お米の価値と魅力」

弊社は「おくさま印」というお米ブランドを掲げ、北は北海道・南は九州まで、全農や県の単体農協、生産者団体の方々にお世話になりながら、年間8万トンほどの原料を扱っています。それを精米してスーパーマーケットや外食産業に流通するのが、幸南グループの中で9割近くを占める主事業です。

この業界に携わり14年を経て分かってきた事は、「お米の価値と魅力」が一般消費者へ届き切っていないということです。もっとお米の良さを分かってもらうために、知恵や工夫を出しながら商品のクオリティを上げることに力を注いでいます。

1962年がお米の生産量も消費量もピークと言われていた時代で、現在ではそれが半分以下になっています。

今までお米は、主食であり食生活のインフラでありました。もちろん今でもその要素に変わりはないと思うんですが、本当に大切な、お米の良さ・価値・魅力などが消費者まで届いていないことの表れだと感じます。

そういった部分を、根本から変えていきたいということで「お米の新しい需要をつくろう」と思ったんです。

精米業から良い意味で「逸脱」した多角的事業展開

まずはレトルト事業があります。最初は水とお米と言えばおかゆ、という発想しかなかったのですが、今では炊き込みご飯、赤飯、リゾットなども製造しています。カップ型の容器で開発することで、都心の1人暮らしの方やビジネスマンを中心に需要が生まれています。

また、グループには炊飯会社もありますので、袋に入っているお米ではなく、炊きあがったご飯や酢飯を提供する事業もあります。幸いにも、弊社は関西国際空港に近いことから国際線の機内食にも採用いただいています。

量こそ多くはないですが、海外にも目を向け、香港、台湾、シンガポール、アメリカ、スロバキアにもお米の輸出をさせていただくようになりました。

特にスロバキアは、150店舗ほどの日本食レストランがあるにも関わらず距離的な理由でイタリア米が使われていましたが、そこに輸出するチャンスをいただきました。しかながら、日本のお米を取り扱ったことがないので炊飯ができず、お米の文化がほとんどありませんでした。そこで僕たちは、ただ単に米を輸出するだけではなく、日本では当たり前のように存在するコンビニおにぎりの販売ができないかと思ったんです。スロバキアのガソリンスタンドにはだいたい売店があるので、そこにおにぎりを並べさせてもらい、現地の方にも好評と伺っています。

その他にも、米匠庵というチーム(事業)を結成し、ギフトやノベルティに使っていただけるように、お米を化粧箱に詰めた商品を開発しています。社内にデザイナーがいるのが強みで、企画・デザインから商品製造、発送まで全て内製化しています。

企業の100周年の周年記念ノベルティや、株主優待のお返しなどに使っていただいています。ユニークなアイデアでは、ヤクルトスワローズさんの開幕2戦目で、来場者さまに弊社が用意した赤飯をプレゼントしました。

メインである「お米」を超えた「農産物」に関する取り組みも

他にもちょっと変わった展開として、2018年に立ち上げた「地域活性化研究所」という部署を軸とした活動があります。我々の事業を支えてくださっているのは「生産者」の方々です。秋口や年明けには、産地へ出向き、生産者や農協さんとコミュニケーションとりながら「今年も頑張ろうね!」みたいな話をさせてもらいます。

その中で、生産者の方々からは、担い手不足のことだったり、取引先との関係性だったり、ご自身の生活のことだったり、本当に様々な生の声を伺います。そのような環境下で僕たちは、生産者の方々が本当の意味で持続的に農業ができる環境を整えるために何かできることはないだろうかと考えるようになり、先ほどお伝えしたギフトやレトルト加工品の販路や技術をフル活用し、農産物の価値を最大化するお手伝いをしよう、ということで「地域活性化研究所」を立ち上げました。

今ではおかげさまで、生産者のみならず、全国の自治体、県庁、市役所、町役場、村役場などにもお邪魔することで、地域の農産物を活用した「的を得た流通」を起こせるようになりました。持続的農業ができるよう、ご要望次第では、ギフトとかノベルティとかレトルトのような製品に固執することはありません。生産者が消費地にもっとPRしたい、直接つながりたいと仰った際には、それに特化したお手伝いもさせていただきます。生産者の方々に成り立ってもらうことが先決である、という思いが募った事業ですね。

お米業界の立ち位置を変えるために

実は、自分たちのことを対外的には「お米卸」と言わず「お米のメーカー」って言っているんですよ。自身の仕事に誇りを持ち、特に若者から働きたい!と思ってもらえる産業にしたい。そう思うあまり小さいながらも、あべのハルカスに事業所を置いています。働く人たちが目に見えて誇れるものを作りたかったんですね。

「不易流行」という言葉が好きです。先代であったり、今までの礎を築き上げられた方々に対する感謝もあります。時代は変われど、本質として良いところがたくさんあるからこそ、会社って続いているんだと思うんですよね。その本質を大事にしながら、いかにその土台の上に新しい風を吹かせるか、それが僕らの世代の役目だと思っています。そのためにこの7,8年ぐらいは、新卒採用も含めて若い人材の獲得に力を入れています。今、弊社の半分ぐらいは20代の方です。そういった方々の思いや発想力っていうのは、もう僕らは勉強させてもらうことばかりで、新たな需要開拓を達成してくれると信じています。

築野食品工業に期待すること

僕たちは、米ぬかを使って何かができるなんて思いもつかなかったですし、米ぬかの成分を抽出し、それを活用し、化粧品や医薬品や化成品ができるなんて想像も付かない。お米って捨てるものがなくて本当に優れた食べ物。ただお腹を膨らますのではなく、健康や美容、環境の面で一役も二役も担います。それらを商品化することで、誰もが素直に理解できる形に変換して伝えていらっしゃるのが築野商品工業さんですよね。ぜひ様々な所で発信をし続けていただきたいです。そうすることで、消費者へ「お米の価値と魅力」を一層伝えていただけるのではないかと感じています。

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