こんなところにもお米の力
菓子工房ビルドルセ

 

東京都小金井市にある洋菓子店「菓子工房ビルドルセ」。実はお店を営業しているのは街の建設会社。建設会社が菓子工房をされていることや圧搾一番搾り国産こめ油を使用されている商品について、今回は金澤建設株式会社の金澤様に伺いました。

異業種承継で受け継がれた菓子工房

「菓子工房ビルドルセ」の人気商品「黄金井パフ」。その起源は「菓子工房ビルドルセ」が誕生する前、1988年創業の東京都小金井市の小さな洋菓子店にあった「カスタードパフ」。その洋菓子店のショーケースの端に並んでいた「カスタードパフ」は地元に愛される美味しいお菓子でしたが、2015年に後継者不在で閉店されることとなってしまいました。

そんなとき、同じ地元の建設会社である“金澤建設”さんが「この味を絶やしたくない」という気持ちからお店を継承されることを決意され、「菓子工房ビルドルセ」を開店し、現在に至ります。

 

もちろん金澤建設さんにはもともと菓子事業があったわけではないため、初めて菓子製造に関わるメンバーでプロジェクトが始まりました。そのプロジェクトでは、製造・販売・衛生管理などお店の運営に関わるすべてについてマニュアルにまとめ、今の店舗運営の土台を一つ一つ作っていったそうです。

 

「菓子工房ビルドルセ(Builddulce)」の名前の由来は、地元のお菓子の歴史をこれからも作り続け(build)、みなさんへ美味しいお菓子(dulce)をお届けしたいという想いが込められています。

地元の味「黄金井パフ」の進化

2015年の開店当時は、地元の洋菓子店のレシピを受け継いだ「黄金井パフ」。

イベントや催事で販売をしていこうとしたときに短い設定の消費期限について、なぜ長くしないのかというような指摘されることが多くあったといいます。商品の寿命を伸ばすこと、商品を安価にすることなどにプロジェクトメンバーは疑問を持ち、それをきっかけに食品添加物などの勉強をし、原材料を見直しされていきました。受け継いだレシピを変えると、もともとの味を再現することが難しく、何度も試行錯誤を繰り返されて元の味は守りつつ今の「黄金井パフ」はできあがりました。

 

さらに「米粉の黄金井パフ(豆乳カスタード)」を開発しました。この新商品は、それまでに使っていた小麦粉は国産米粉へ、砂糖は精製されていない砂糖へ、牛乳は豆乳へ、食品添加物はできるだけ使わずに現在は作られています。小麦粉フリー、牛乳フリー、白砂糖フリーに進化したことで幅広いお客様にお楽しみいただけるようになり、アレルギーのお子様をお持ちの親御さんから、選べる商品ができてうれしいとのお声もあったと言います。

 

油に関しては元々こめ油ではない植物油を使用していたビルドルセさん。現在は全ての商品に国産米ぬかを圧力だけで搾る、つの食品の「圧搾一番搾り国産こめ油」(後述:圧搾こめ油)を使ってくださっています。圧搾こめ油に変更してからは、「黄金井パフ」の生地がよりふんわりとして、優しい甘みを感じられるようになったと仰られます。

「黄金井パフ」は、地方に隠された宝物を選ぶグランプリ「にっぽんの宝物」のJAPANグランプリでスイーツ部門 審査員特別賞を受賞されたりと数々の賞を受賞されてます。

材料を大切に使って、新たな商品開発

継承当時、卵黄を使ったふわふわ生地に、卵黄を使ったカスタードクリームを詰めた「黄金井パフ」の1品だけを作っていました。そうすると、卵白が余ってしまうためフードロス問題を抱えていました。新鮮な卵白を有効活用できないかと新たに開発されたのが卵白とココナッツシュガーだけで作ったメレンゲです。そして無添加の米粉クッキー「黄金井ココ」という新しい焼菓子が生まれました。現在はBAKEdulce、BEERdulceとして8種類展開されています。

 

お店を受け継いだ当時、「カスタードパフ」のレシピ継承からプロジェクトは始まり、2022年からは「We build safety and tasty !(わたしたちは『安全』と『美味しい』を作ります)」というコンセプトのもと、身体に優しく、そして美味しい洋菓子をつくるプロジェクトを進められています。

優しさあふれる東小金井の地元の味

地元の味を建設会社である金澤建設さんが受け継ぎ、さらなる進化を続けられている「菓子工房ビルドルセ」。名物の「黄金井パフ」と最近のオススメの焼菓子「BAKEdulce」「BEERdulce」をいただきました。

「黄金井パフ」シリーズの“カスタード”と“チョコレート”はどちらもふわっふわで中にクリームがたっぷり。優しい甘さなので、それぞれのクリームや生地の味をしっかりと味わうことができます。

また、「米粉の黄金井パフ」は中のクリームが豆乳でできているためあっさりだけど、バニラの香りを感じておいしいです。ミルクが苦手な方や小麦粉アレルギーがある方も楽しめるのはうれしいですよね。

「BAKEdulce」はおやつタイムに嬉しい優しい甘さの焼菓子。国産さくら味は「名勝 小金井桜」をイメージして作られており、米粉と合わさることで桜餅のような香りがし、和と洋が合わさった新しい焼菓子。4種類の味があるのでお子様から大人まで楽しめます。

「BEERdulce」はビールに合わせた、ビールラバーのために生まれた「おかしなおつまみ」。すこし塩気のある味付けは、おやつにもいいですがやっぱりお酒のお供に。一味唐辛子や黒胡椒が使われている味もあり、すこしパンチのある味に手が止まらなくなりました。

原材料にこだわり、心と身体が喜び、10年後も健康な体でいられるような洋菓子を地元で発信し続けていきたい、と想いを教えてくださった金澤さん。異業種承継によって受け継がれた「黄金井パフ」。地元の味を守りながらも、材料にこだわって改良し、食材も無駄にしないように新たな商品を開発され続ける「菓子工房ビルドルセ」。是非、小金井近くに行った際は立ち寄ってみてください。

店舗情報菓子工房ビルドルセ

【住所】〒184-0011 東京都小金井市東町4-38-17-1階

【電話】042-301-2345

【営業時間】10:00~18:00 *不定休

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